熟成肉と言っても様々な種類が存在します。
熟成期間や熟成環境、熟成方法(ドライエイジングやウェットエイジング等※日本では一般的にドライエイジングが主流なので、ドライエイジングを基本として書いていきます。)等々色々ありますが、基本的に味に影響する一番大きな要素が元々の牛肉の種類なのです。
それは何故か?
どんな熟成環境が良く、熟練の技を持ってしても、元々牛が持っているポテンシャルは変えられないからです。
元々持っている牛のポテンシャルを引き出す為の技術の側面もありますし。。。
熟成技術の発達はそもそも冷蔵庫が、、、、、、、テーマから外れるので、このお話はまた違う回でご紹介させて頂きますw
元のテーマに戻って、日本で食用として飼育されている牛肉は、和牛の種類としては4種類います。
・黒毛和種
(皆さんに一番馴染みのある牛で、体毛が黒く格好良い角が生えている牛です。 肉質的には脂肪分の含有率が高く(因みに世界一です)個体差はありますが、凡そ41%〜43%。 芸術品と言われる霜降り牛はこの品種の特徴で、旨味が強く柔らかい肉質です。※日本で行われる品評会の評価はこの種がベースとなっており、個体のサシ(脂)の入り方と、歩留り(精肉の取れる割合)によって行われます。)
・褐色和種
(こちらは赤毛とか赤牛といった名前での言い方が馴染みあると思います。名前の通り褐色(赤毛)の体毛があり、こちらは可愛らしさのある角があります。 肉質的には、脂肪の含有率が黒毛和種に比べると10%前後少なく、赤身が主体です。 筋繊維が強いわりに柔らかい部分もありフィレやサーロイン、ランプ等は特に旨味が強く、ジューシーな旨さがあります。バランスが良い。)
・日本短角種
(深い褐色の体毛で生での通り短い角が生えています。比較的大きめの体格ですが、性格が温厚で放牧に適している種です。 東北地方に多く。。岩手が中心ですね。北海道にもいます。 実際、東北や北海道では広大な土地を利用して、放牧飼育されている方が多いです。 所謂グラスフェッドビーフです。こちらは、褐色和種よりさらに脂肪含有率が低く(凡そ17%)、筋繊維が強いのですが、その分赤身の旨味が強く、フィレやサーロイン、カイノミ等の旨さは絶品です。)
・無角和種
(こちらは、ほとんど見かける事の無い牛種なので割愛します。w)
脂肪含量(脂肪面積割合)
世界で一番、脂肪含量の多い品種 脂肪含量が多いほど、やわらかい。
説明が長くなりましたが、以上が和牛と言われる種類です。
また熟成肉といえばU.S.Aが主流ですが、こちらはアンガス牛(脂肪含有率27%)です。
今回は、我々が考える熟成適正牛の話なのでこちらも割愛しますw
表題に戻りますが、熟成される種類は上記の中で黒毛和種が多いかと感じます。
次に交雑種(和種とホルスタイン種(乳用牛)の掛け合わせ)、少量ですがホルスタイン種もあります。
我々は黒毛和種に特化して熟成をかけています。
今まで日本短角種や褐色和種の熟成も色々と試してみたのですが、現在は黒毛和種のA4を主に使用しています。
主な理由はやはり肉質の良さ、筋繊維が柔らかく、適度な脂肪含有量がお肉に保湿性を持たせ、アミノ酸の一種であるオレイン酸、不飽和脂肪酸(どちらも旨味成分)が多く、コラーゲンの含有量も高いからです。
また、とても大きな要因として信頼できる生産者としっかりとした繋がりを持って、出産から出荷までの一貫管理が出来ている事です。
野菜もそうですが、基本的に店で使う食材は、現地に行き、生産現場を見て、生産者と話し、本当に良い物を直接取引きで使わせて頂いています。
また話しが逸れそうなので締めますw
最初から黒毛和種が良い!と思った訳ではなく、また最初から根拠があった訳でもありません。
色々な試行錯誤を繰り返し、様々な人に助けられ、それでも旨い肉を作りたい!と追及した結果、私は現在黒毛和種を使用していますが、様々な熟成があるので、みなさんはそれぞれの違いを愉しむのも良いかも知れません!
また次回はどうやって熟成するの?に答えていきたいと思います。
毎週月曜に更新するので(絶対では無い可能性もありますw)楽しんで頂けたら嬉しいです。